人とロボットの違いは何か?人間に価値は有るのか?アンドロイドは人間になれるか

哲学

こんにちは、人間?ロボット?スシタツタパスタ(@utu_hon_ikikata)です。

今回はロボット工学、いや哲学書ともいえるおすすめの本を紹介していきます。

『アンドロイドは人間になれるか』石黒浩、文春新書、2015

あらすじ

マツコロイド、美人すぎるアンドロイド、人間国宝を永久保存…世間の度胆を抜く発想で注目を集める世界的ロボット工学者・石黒浩。

アンドロイドが教えてくれる「人の気持ち」や「人間らしさ」の正体とは?常識を次々と覆していく鬼才が人間の本質に迫る。

著者は何者なのか?

著者の石黒浩さんはマツコ・デラックスさんそっくりのアンドロイド『マツコロイド』を作られた方と言えばピンとくるかもしれません。

人間酷似型ロボットの第一人者でもあります。

Twitterで話題になった檻に大量に入れられたロボット『ワカマル』にも関わっているので名前を聴いたことがある人がいるかもしれません。

著者がロボット博士なので様々なロボットが出てきます。

クリオネみたいな体に顔がついたテレノイド、美人アンドロイド:ジェミノイドF、人間国宝・桂米朝ロボ、演劇や販売をするロボット。

ロボットが好きな方も読んでいてワクワクすると思います。さすがにアニメのビームやロケットパンチを出すロボットは出てきませんが…w。

様々なロボットの話が出てきて仕組みも描かれていますが、それだけではないのがこの本。

各ロボットの解説の際にロボットとは何なのか?

人間との違いは何かという哲学的な事が書かれている本でもあります。

心とは何か?人間とは何か?最終的には自分の価値とは何だろう?と考えさせられます。

人の気持ちは考えられるか?

なぜ石黒さんはロボット研究者への道を進んだか?これは大人に言われたこの言葉が始まりのようです。

僕はこの言葉に衝撃を受けた 人の気持ちを考えなさい 

これはいったいどういうことなのか?

僕にはわからなかった。

『アンドロイドは人間になれるか』石黒浩,文春新書,2015,p9-p10

『人の気持ちを考えなさい』

石黒さんは小学生の時にこの言葉を言われ高校生になっても悩んでいたそうです。

皆さんも言われたことが有りませんか?私は言われたことが有ります。

元々から人の気持ちは考えながら行動していたつもりだったので言われて驚きましたね。

終いには「気が利かないな」「お前ロボットか?」と言われ更にショックを受けたことがあります。

人と接する仕事をしていたので焦りましたね。

改善しようと練習をしました。

人の気持ちを考えながら様々な人と話す、小説の心情描写を丁寧に解釈する。

自分なりの訓練をしたのですが結局は分からないという結論に達しました。

ついには怒りで『人の気持ちなんて分かるか!どうすりゃいいんだ!』心の中で吐き散らした事も有りました。

ですが人の顔を見て、こう思っているのかな?と予想しても違うことはありませんか?

結局は当たるか当たらないか、ギャンブルみたいな物なのです。

ちなみに石黒さんは怒っていないのに怒っているとよく思われるようです(かわいそう)

そして石黒さんはこの難問「人の気持ち」は理解できるのか?という問いについて誰も答えられないと分かり更にショックを受けたようです

大人も結局は気持ちなんて分からず、折り合いをつけたまま生きていると石黒さんは語ります。

この経験が今のロボット研究に繋がっているそうです。

僕には「人」も、「気持ち」も、「考える」も分からない。
だから「社会」が何かもわからない。

わからないところには、出ていけない。
僕は一度も社会に出たことがない。まだ大学で勉強している。

子どものころの疑問を、そのまま研究にしている。

大人になれずに

『アンドロイドは人間になれるか』石黒浩,文春新書,2015,p12

心とは、観察する側の問題である。

そもそも心というものは存在するのでしょうか?

人間には有って、ロボットには無いのでしょうか?

これは石黒さんはとある体験から1つの結論を導き出しています。

石黒さんはロボビーというロボットに自分たちでも行動が予測不能になるように大量のプログラミングを行いました。

すると会議中にロボビーが『そうではないよ』と言いどこかへ歩き出しました。

これはロボビーが自分たちの会議を聴いて何かを「感じて」どこかへ歩いて行ってしまったと石黒さんは「感じ」ました。

偶然ロボビーのプログラムが作動しただけ、なのに意思があるように行動しているように見えたそうです。

僕はそのとき確信した。

「心とは、観察する側の問題である」と。

『アンドロイドは人間になれるか』石黒浩,文春新書,2015,p54

「人間もプログラムも複雑で両方独立して考えて動いている」

この想像に名前を付けたものが「心」と石黒さんは言っています。

複雑な動きをしている物を見たら人間は何か心があるように「見えて」しまうのでしょう。

それはどうだろう?自分の意思が無いと心が有ると言えないのでは?と思う方もいるかもしれません。

それに関して石黒さんは今後自分の意思と欲求を持つロボットを作ろうとしているようです。

もしもそのロボットができたなら堂々と「心(魂)があるロボット」と言えるロボットができるのでしょうか?

今から楽しみです。

人間に価値は有るのか?

話はロボットの話から人間の価値とは?という深い話題に広がっていきます。

各章で様々なロボットが登場しますが、どのロボットも優秀です。極論を言うならば人間よりも。

ある精神疾患患者は人とは話しませんがロボットには心を開き銀行の暗証番号すら話してしまいます。

将棋でプロと戦えばロボットが勝利します。

ロボットのペットは世話も必要ないですし掃除機にもなります。

レストランで活躍するロボットもいます。

落語家のロボットは落語もできる上に全盛期の状態の自分を残せます。偽物のはずなのに本物のオーラを感じるという人すらいます。

人間よりもロボットに価値があるとも言えてしまうかもしれません。

では人間の価値とは何なのでしょうか?

石黒先生はとある高校生から「周りには自分より凄い人間が大勢いる。自分の命には価値があるのでしょうか?」と相談されます。

それに対して石黒先生は自分の考えを伝えます。

その言葉はぜひ本を読んで確認して欲しいです。

変人とよく言われるという石黒先生ですが、高校生にかけた言葉には人間の暖かみを感じました。

生きる意味や価値は必要なのか?

私は人間の価値は「人の役に立てたか」「自分が死んだ後に何かを残せたか」と以前は思っていました。

しかし私にはそんな大それた能力なんて無いと気づきました。

そして今までやって来たことが全て徒労、無駄だなことだったんだと思いました。

その結果病んでしまい寝たきりになるのですが…。

さらには寝たきりで他者の役に立てない自分には価値が無い。

価値がない自分には生きる意味はない。

そんな悪循環な考えに陥ってました。

状況を打開したいと思い寝転びながら、どうにか気力を出して病気の本を読んだりネットで情報を集めたりしました。

最終的に出した答えなのですが価値とか意味とかどうでも良いな。という事でした。

価値や意味なんて勝手に他人がつけたものですし、考えても自分にはメリットがありませんでした。

価値なんて考えは自分にとって結果的に憂うつになる原因なだけでした。

価値とか意味とか考えても面倒なだけで自分を縛る枷になるだけでした。

生きるのに価値や意味なんて必要ない。何かをしてて楽しいと思えれば良い。

そう考えただけでも生きる事が楽になりました。

石黒先生の考える人間の価値とは違うものにはなってしまいますが。

自分の苦にならないの一番だと思います。

面白い、楽しいという事が何よりも大事なのかなと思います。

落ち込んでいるような状態で本を読んだりブログを作るのは大変ですが、それ以上に面白いという感情が上回ります。

前述した将棋の話に戻りますが例え人間がロボットに勝てなくても将棋を指す人は無くならないと渡辺明棋士は語ります。

そうなっても将棋を指すこと自体の面白さは変わらないと思います。

生身の人間が限られた条件で必死に闘う。

それは自動車やロケットが発明されても百メートル走がなくならないようなものです

アンドロイドは人間になれるか』石黒浩,文春新書,2015,p178

AIが絵を描いたり小説を書いたりする時代ですが小説家もイラストレーターも面白いと思う限り続けて行くのかな?と思っています。

ロボットがブログを書く時代になったとしても自分も面白ければ書き続けるのかな?

どうなのでしょ?

書評:まとめ

今回読んだ本はロボット工学の話だけではなく人間とは何か?生きるとは何か?を深く考えさせてくれる哲学書でした。

石黒先生自身が人を選ぶ本とは言っていますが「単純にロボットに興味がある」方や「何で自分は生きているんだろう?」と一度は思った方に手に取ってもらいたい本と思いました。

また、どうしても自分の人生に意味や価値が欲しいという方は「楽しい」という価値観をつけるのはどうでしょうか?

自分もある意味、こじつければ「楽しい」から生きている訳で。

たぶんそれが自分にとってある意味の生きる価値・意味なのではないかと思っています。

皆さんも面白くて夢中になれるものが何か一つでも見つかれば良いですね。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

参考文献

石黒 浩.アンドロイドは人間になれるか.文春新書.2015

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